借金があったので母親と子である私は相続放棄手続きをしました。
私たちが相続放棄をしたことで、次の相続人にあたる叔父に「相続放棄した旨」を連絡しなければいけないでしょうか?
(男性・40代)
この場合、連絡してあげたほうが丁寧だと言えます。
債権者側でも次の相続人を調査し、次の相続人に催促の通知や連絡がいきます。
相続放棄は親族一丸となって行う場合が多いです。
手紙などを用いて早めにご連絡してさしあげた方が、相手も動揺が少ないのではないでしょうか。
次に借金を背負う人の存在
亡くなった人の「配偶者」や「子」が相続放棄を行った場合、始めから相続人でなかったことになるため、相続権は直系尊属(つまり亡くなった方の親や祖父母)が相続人となります。
親が相続放棄を行った場合親も初めから相続人ではなかったことになるため、相続権は亡くなった方の兄弟姉妹となります。
つまり、被相続人の借金を理由に配偶者や子が相続放棄を行っても、次に借金を背負う人の存在がある事を忘れないでください。
相続放棄した人はどうしているの?
一般的に借金を理由とする相続放棄の場合は、親族が一丸となり被相続人の兄弟姉妹まで行う方が多いです。
しかし、中には借金を理由とする相続放棄の場合、親族に理由を知られたくない方もいらっしゃいます。
借金という「遺産」の管理
ご自身が相続放棄をして一安心かと思いますが、実は民法940条では、「相の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。」と条文に記載されています。
借金も「負の相続財産」となるため、放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、相続財産の管理を継続しなければならないことになります。
相続放棄した事実を知るのは時間の問題
債権者=お金を貸した人(銀行や金融会社等)も、第一順位の相続人が相続放棄を行った事実が確認できた場合は、債権回収のため相続人となった者を調査し、相続人に対し通知を行います。
あなたが連絡をしなくても、債権者が通知を送ってくるため、放棄によって自身が相続人となった事実を知るのは時間の問題とも言えます。
だからと言って、債権者からいきなり通知が届くよりも、当該親族から事情を聴くのとでは相手の心情も変わってくるものです。
相続放棄は親族が一丸になって手続きをした方が、書類を必要最小限に抑えることもできますし、何より手続きの負担が少なくて済みます。
直接でなくても手紙等で連絡することも可能ですので、少しでも迷惑を掛けたくないという思いがあるなら、専門家の立場としては「連絡してあげた方が丁寧」だと言えるでしょう。