私には80代の母、母と同居している兄がいます。
兄は40歳を過ぎても定職につかず、お金がなくなると母に金をせびっているようです。
私は遠方に嫁いでしまったので、母の面倒を見る事もできず、近くに頼れる親戚もいません。
母は以前から物忘れがひどく、軽い認知症と診断されていましたが、最近症状が進んだようです。
そのため兄が母の貯金を使い込みしてしまうのではないかと心配です。
どうしたらいいのでしょうか?
(40代 女性)
成年後見制度の利用を
家庭裁判所に選ばれた成年後見人が、お母さまの利益を考えながら法的な手続きや財産管理などを代理する制度「成年後見制度」がありますので、そちらの利用をおすすめしました。
娘さんが家庭裁判所に申し立てを行い、専門職がお母さまの後見人に選ばれました。
以後はしっかりとお母さまの財産管理を後見人が行っているそうで、お兄様も定職に就かれたそうです。
わかりやすい成年後見制度の話
精神上の障害(認知症、知的障害、精神障害など)によって「判断能力」が不十分であるために契約などの法律行為や財産管理がうまく行えない方の能力を補い、ご本人を最大限尊重しながら支援する制度が「成年後見制度」です。
成年後見制度は判断能力に応じで「後見」「保佐」「補助」に分かれており、それぞれサポートする人の法的権限の範囲が異なります。
手続き方法
本人や4親等内の親族が家庭裁判所に申し立てを行います。
申し立てをする書類を集めたりするのに1か月〜3か月かかる場合もあります。
申し立てをすると、家庭裁判所が必要な調査を行った上で、本人の財産管理を行う「後見人」を選びます。
後見人は誰が選ばれるのか?
後見人には親族も選ばれることがあります。どちらかと言えば親族が選ばれるケースが多いでしょう。
しかし、本人と親族との折り合いが悪い、近くに適任の親族がいないなどの理由から、弁護士、司法書士、行政書士などの「専門職後見人」が選ばれる場合もあります。
成年後見人は、本人の財産目録を作成し、毎年の収支報告を家庭裁判所に行う義務があります。
また、本人の財産が一定額以上の場合は「成年後見制度支援信託」といって通常使用しない金銭を、信託銀行に信託する制度もあり、この制度を利用すると、家庭裁判所の「指示書」がないと、払い戻しや信託契約を解約することができません。
このように成年後見には様々な制度によって本人の財産を管理、保護する仕組みが設けられています。